遺言の執行
1 遺言執行者
遺言内容を実現するための相続手続(遺言執行手続)を行う者を遺言執行者といいます。
遺言執行者を選ぶには
①遺言によって指定する方法と
②指定がない場合に家庭裁判所に申立てをして選任してもらう方法
があります。
家庭裁判所で選任を受けるためには1か月程度の時間がかかることがあるため、スムーズな相続手続をするためにはあらかじめ遺言執行者を指定することをお勧めします。
(関連Q&A)
『Q20.遺言執行者は誰でもいいのですか?』
『Q21.遺言執行者に適しているのはどういう人ですか?』)
2 遺言執行手続とは
①戸籍謄本等を収集して相続人の確定
②金融機関の手続や不動産の名義変更
③相続人とのやりとり(遺言書や財産目録の開示など)
などを行う必要があります。
①戸籍謄本等の収集は意外と大変
戸籍謄本等の収集は、遺言者の出生からご逝去までの戸籍など多数の戸籍が必要になるため、出生時、婚姻時、死亡時などで本籍地の市町村が異なる場合、各市町村に戸籍を請求する必要があり、大変な作業です。
当事務所による遺言執行のメリット:専門スタッフが戸籍収集を代行します
当事務所の専門スタッフが代行しますから、取得が難しい戸籍がある場合(例:遠隔地の市町村、市町村合併があった場合の他、戸籍が滅失している場合)などにも対応可能です。ご相続人は戸籍収集の負担から解放されます。
②金融機関の手続や不動産の名義変更
当事務所による遺言執行のメリット:豊富な相続手続の経験
当事務所は全国6事務所において、遺言執行者として全国の金融機関の相続手続を行っています。各金融機関の個別の対応などについても熟知したスタッフがおりますので、スムーズに手続を行うことができます。
③相続人とのやりとり(遺言書や財産目録の開示など)
遺言執行者は法律上、他の相続人(財産を受け取らない相続人を含みます)に対し、遺言書を開示したり、相続財産の目録を交付する義務があります。
仮に遺言者である母と同居されていたご長男様が遺言執行者になっていた場合、ご長男様は兄弟姉妹に対し、遺言書や財産目録を開示する必要があります。
その際、ご長男様ご自身が他の相続人から「どうして預金が少ないのか。同居していた長男が使ったのでは」「父の相続の際に長男が財産を多く取得したのだから今回はもう少し分け前が欲しい」などと言われると困ってしまうかもしれません。
当事務所による遺言執行のメリット:各相続人とのやり取りを代行
当事務所が遺言執行者となる場合
相続人とのやり取りは基本的に当事務所の専門スタッフが行いますので、ご相続人自身が他の相続人とのやり取りを行うことの負担を軽減することが可能です。
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- Q20.遺言執行者は誰でもいいのですか?
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遺言執行者が必要ということであれば、できるだけ費用をかけたくないので相続人を遺言執行者に指定しようと思っています。
遺言執行者には相続人を指定して何も問題はありませんか。 -
相続人の方を遺言執行者に指定することは可能です。
ただし、相続人などの個人を遺言執行者に指定する場合は、遺言執行者の死亡、病気等によって職務の遂行が不可能となるリスクがあることに留意する必要があります。また、遺言執行者は法律上は相続人全員の代理人と位置付けられるため、相続人全員に公平に接する必要があります。
遺言者に長男、二男、長女がいたとして、 遺言執行者を長男の懇意にしている方に指定していた場合に果たしてその方は二男、長女に対しても公平に接してくれるでしょうか。仮に、その方が真に公平に遺言を執行していたとしても、二男、長女からは公平に見えるでしょうか。公平ではないと感じた時、人は不満に思わないでしょうか。
遺言執行者を選ぶ際には、相続人からみて中立性・公平性が確保されていると信頼される存在であることも重要な要素となります。
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- Q21.遺言執行者に適しているのはどういう人ですか?
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遺言執行費用をかけてまで法律事務所に遺言執行者になってもらうメリットはありますか。
もっと安く頼める人や会社があるのであれば、そちらで十分とは言えませんか。 -
遺言執行は法律手続の一種です。遺言執行者は法律の知識が十分であることが望ましいことは言うまでもありません。また豊富な経験に基づくノウハウがあることが望ましいことは言うまでもありません。
遺言執行者は遺言者の大切な遺産を相続人や受遺者にお渡しする業務を行います。大切な遺産を預かる以上は、重大なミスや横領などの事故を防ぐため信用、信頼の実績があることが望ましいことは言うまでもありません。当事務所は4,520件の遺言執行の支援実績があります(遺言執行財産額累計3,920億円)。安心してお任せいただけます。
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- Q22.遺言執行者として指定された人が遺言者よりも先に死亡していた場合はどうなりますか?
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父が亡くなりました。父は、公正証書遺言を残しており、その遺言書の中には、「本遺言の執行者として○○○○を指定する」と、父がよく相談をしていた弁護士が遺言執行者として記載されていました。しかし、その弁護士は父よりも早く他界していました。このような場合、どうすればよいのでしょうか。
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遺言執行者が先に死亡している場合は「遺言執行者がないとき」として、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます(民法1010条)。
申立人は候補者を指名することができるので、お知り合いの弁護士や自分自身などを候補者として指定することも可能ですが、裁判所における選任審判手続が必要になりますので相続手続に時間がかかることになります。その点、当事務所のように弁護士法人が遺言執行者として指定されている場合は、仮に遺言を作成した際の担当弁護士が退職、死亡していたとしても、弁護士法人が遺言執行者なので何の問題もなく相続手続を行うことが可能です。
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