1 死後事務について
近年、相続に関する関心の高まりから、自身の死後に備えて遺言書を作成される方が 増加しています。遺言書は、自分が所有する財産を誰にどのように相続してほしいのかについて意思を残す法的な文書であり、相続の場面で欠かすことのできない重要な書面です。
もっとも、人の死後には、財産の相続手続のみならず、さまざまな死後事務手続を行う必要があります。たとえば、葬儀や火葬、埋葬、公共料金の引落しの停止、健康保険や年金に関する公的手続、各種契約の解約など、残された人の行わなければならないことは枚挙にいとまがありません。
一般的には、ご家族がこれらの手続を行うことが多いですが、遠方にお住まいの場合や疎遠な場合、いわゆるおひとり様の場合など、死後の事務手続を行ってもらう人が身近にいないことも少なくありません。そのような場合であっても、手続を放置することはできませんので、生前に対策しておく必要があります。
その対策として、近年、遺言書の作成と並行して死後事務委任契約を締結される事例が増えています。
2 死後事務委任契約の概要
死後事務委任契約とは、死後に必要となる種々の事務手続が確実に遂行されるよう、自身が信頼できる人にあらかじめ死後事務手続を依頼しておく契約のことをいいます。
遺言書は、上記のとおり、あくまで財産の相続関係について法的効力を与えるものですので、死後事務に関する意思を遺言書に記載しても法的効力は生じません。そのため、遺言書とは別に、死後事務委任契約を締結しておく必要があります。
死後事務委任契約は、公正証書によって作成されるのが一般的であるため、公正証書遺言の作成と並行して行うのがおすすめです。いずれも、法律の専門家である弁護士や公証人といった第三者が関与するため、あとから法的トラブルが生じるリスクを低減することができ、確実に死後事務を遂行するよう準備しておくことが可能です。
朝日信託では、相続や死後事務に熟知した弁護士が死後事務委任契約の締結もサポートしておりますので、遺言信託と併せて死後のお手続をトータル的にお任せしていただくことができます。