1 相続土地国庫帰属制度の高いハードル
令和5年4月から、相続した土地を国に帰属させることのできる制度が開始しました。
多くの方は、先祖から譲り受けた今後使うこともない田舎の不動産を、相続の際に国が引き取ってくれる便利な制度が始まったのだと思われているかもしれません。
しかし、この制度を利用するためのハードルは低いものではありません。
例えば、建物があったり、境界が明示されていない土地は申請の段階で却下されますので、この制度を利用する前提として建物の解体費用や測量士への依頼費用として場合によっては数十万円から数百万円が必要になります。
また、田舎の不動産ですと所有者が都市部に出て行ってしまっているなどにより、境界を確定するにも多大な時間を要することもあります。
さらに、勾配が大きかったり、崖があったり、土地に埋設物があったりすると申請が承認されませんので、場合によっては勾配、崖の調整や埋設物の除去費用が掛かってくる可能性もあります。
以上の要件をクリアした上で、20万円以上の負担金を納めることでやっと国庫に帰属させることができるようになります。
2 条件を満たす土地は通常の売却も可能
ここまで読んで頂いた方であれば容易に想像ができるかと思いますが、建物の解体が済んで更地になっており、境界が確定し、近隣の方と揉めるリスクをクリアした土地については経済的に利用しやすい土地になりますので、多くの場合では不動産業者に依頼をして売却することができてしまいます。
したがって、国庫帰属制度は何の問題もない土地なのであるけれども、ひとえにまったく買い手の需要がない何の使い道もないような土地で不動産業者に依頼しても処分できないような場合の最終手段となるでしょう。
当グループでは相続に伴って発生する不動産の処分にも非常に多くの実績とノウハウがありますので、不動産の処分を検討される際は是非一度当グループにご相談ください。